菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

ラーメンズ第7回公演『news』

ラーメンズ第7回公演「news」 [DVD]ラーメンズ第7回公演「news」 [DVD]
(2009/06/03)
ラーメンズ

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ラーメンズ第7回公演『news』がDVDになりました。なったのは良いんですけど、短いです。かなり短いです。四月に発売された第5回公演『home』が105分収録、五月に発売された第6回公演『FLAT』が87分収録だったのに対して、『news』の収録時間は、なんと77分! ……いざ比べてみると、『FLAT』と大差無いですね。一応、エンドトークも収録されているんですが。

ちなみに、コントの本数は先の二公演と大差ありません。ということは、どうもコント一本の時間が短いみたいです。初の全国公演ということで、一本一本のコントに対して慎重になっていたのかもしれません。……ということで、コントのクオリティは、なかなか高かったのではないかと思います。『home』よりは完成されていましたし、『FLAT』よりも安定感はありましたし。なんというか、ここでようやくラーメンズの本公演としてのカタチが出来上がってきたのではないかと、そう感じさせられる公演でした。

個人的には『読書対決 news篇』が好きでした。『読書対決』自体、ラーメンズのコントの中でも人気のあるシリーズで、過去に『爆笑オンエアバトル』公式ビデオや、第5回公演『home』などにも収録されていますが、この『読書対決 news篇』は、これまでの『読書対決』と比べると、ちょっと異色なんですよね。

まず、版権ネタが多いんですよ。「フランダースの犬」と「忠犬ハチ公」で対決するくだりがあるんですけど、某ドラえもんを思わせる展開とか、某あだち充の某有名セリフとか、そういう版権ネタが積極的に取り入れられてる。ここが、ラーメンズのネタとしては、かなり珍しかったですね。

それから、三本目のネタで「地球の歩き方・日本」と「地球の歩き方・アメリカ」を対決させているのも、異色ですよね。『読書対決』っていうのは、基本的に“お互いが所持している書籍のどちらがより優れているのかを競い合ううちに、自身の所持する書籍の内容を誇大に持ち上げ始める”ところが笑いになっているんですけど、この対決は書籍同士の対決ではなくて、もはや国同士の対決になってしまっているんです。元々、ラーメンズは国家間の差別的なネタも作っていましたが(『にっぽん語』とか)、『読書対決』に、そういう要素を足してきたのには、ちょっと驚きました。

あと、また三本目のネタの話なんですけど、これまでの『読書対決』は、あくまでも持参した書籍の良さをアピールすることで対決していたんですが、今回は初めてお互いの所持する書籍が入れ替わるという展開があるんですよ。で、その入れ替わった瞬間、今度は互いの書籍を貶し合うんですよね。この展開は、おそらく誰もが予想できたことなんですよ。それを遂にやったという。これ以後、彼らは本公演で『読書対決』をやってないんですけど、たぶん、この展開を入れた時点で、これを最後にするつもりだったんじゃないかなあ……とか、思ったりもしますが。勝手に。

他のコントでは、過去の公演で何度か名前が出てきたバカ柳さんが登場する『バッハ』とか、我らがギリジンが王様に扮する『王様』とか、後々の芝居調コントへの流れを感じさせる『英語で話そう』あたりが、ちょっと印象に残ってます。王冠を被ったギリジンは卑怯ですよね、あれは。笑えるとかじゃなくて、とにかく絵になりますもん。あれはズルい!

さて。この『news』がDVD化されたことにより、『home』以降に行われたラーメンズの本公演は、最新公演『Tower』を除いて全てDVD化されたことになります。が……ラーメンズのビデオ作品といえば、忘れてはならない作品があります。それは、ラーメンズ news-NEWS』! 『news』本公演ビデオと同日に発売されたこの作品は、公演の舞台裏からコントの解説、映像コントなどを収録した、ファンにとっては涎ダダ漏れな作品なのです。これがDVD化されないことには、まだまだ安心して眠れません! 頑張れ、ポニーキャニオン人力舎ホリプロコムにも、しっかり頭を下げなさい!(おぎやはぎバナナマンが出演しているそうです)


・本編(77分)

『私の言葉が見えますか』『読書対決 news篇』『バッハ』『雪男』『私の言葉が見えますか(弱気)』『王様』『big news』『英語で話そう』『私の言葉が見えますか(完結)』「エンドトーク」