菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

傑作演映2006『イッセー尾形 寄席山藤亭』

イッセー尾形 寄席山藤亭 [DVD]語れば語るほど、無粋な気がする。イッセー尾形がこれまで演じてきた演目の中でも、人気の高い演目ばかりを披露したベストライブ的な内容になっている。古くは「スター誕生」時代に発表された『英語教師』、電器工場を辞めて電器屋に働き出した中年が仕事に情熱を見出す『電器屋』、近年の名作『ピザ屋』……様々な演目が絡み合う。その中でも、特に強烈なインパクトを受けた演目が『脳コントロール』。劇団ひとり友近もやっていない、コントの追及者である小林賢太郎ですら辿り着いていない世界観を見出している。正直、度肝を抜いた。面白い・おかしい・興味深い云々ではなく、その世界の完成度に度肝を抜いたのだ。この演目が披露されたのが、1993年。今から14年も前に、こんなとんでもないモノを作り出していたのだから、驚きだ……と、なんとなく読者を置いてきている文章を書いているが、大丈夫なのだろうか。大丈夫じゃない気がする。とにかく、イッセー尾形のベスト盤である本作が、2006年に最も良かったと思えたDVDだった。他の作品もだが、フトコロに余裕のある人は是非試していただきたい。これにて傑作演映2006、終焉。ありがとうございました。

10月1日・約89分