『みうらじゅん バナナマンのゼッタイに出る授業』
「みうらじゅんとバナナマンのゼッタイに出る授業」 (2008/08/27) みうらじゅんバナナマン 商品詳細を見る |
みうらじゅん、という人物について。
僕が初めて、みうらじゅんという人のことを知ったのは、地元の書店の店頭で見かけた、いとうせいこうと一緒に出していた『見仏記』という本を見かけたときだった。漢字の名前が並ぶ本が多い中で、平仮名の二人の名前がやけに印象的だったのだ。『見仏記』というタイトルのせいで、当時の僕はみうら氏のことをてっきり仏教系の人だと思っていた。風貌もなんか達観視している感じだし。まさか、元々は漫画家としてデビューしていたとは、微塵にも思わなかった。
それからずっと、みうら氏に興味を持つことは無かったんだけれど、大学でだらだら惰眠を貪っていた頃に、近所のレンタルビデオで『ゆるキャラショー』のビデオを興味本位で借りて、やっと氏がどういう類いの人だということを理解した。要するに、変なモノを取り上げるのが好きな人なんだなあ、と。ゆるキャラもそうだけど、町中で見かける文字を写真に撮影して繋いで写経みたいにしたりとか。『スライドショー』もそう。あんまり世の中の人が興味を持たないジャンルを見つけて、掘り進めて行く感じ。
そんなみうら氏が「好きでもないけど嫌いでもない。でも、人生に一度は出る!」ものを講義しているのが、この『みうらじゅん バナナマンのゼッタイに出る授業』だ。白衣を着た氏が壇上に上がり、たくさんの生徒たち(その中にバナナマンと松丸友紀が入り込み、ちょくちょく氏の講義にツッコミを入れる)の前で独自の講義を展開している。
僕が購入前に本作に対して抱いていたイメージは、「変な題材を取り上げた通常講義」だった。例えば、本編では『スティーブン・セガール概論』の授業があるんだけれど、ここから僕が推測していたのは、セガールの無駄知識を披露する講義だった。イメージとしては、みうらというより唐沢って感じだな、これだと。
で、実際の講義を見ると、これがもう全く違う。まず、みうら氏は黒板に“セガール”と書く。続いて、その下に“ビザール”と書く。更に“バザール”と続けて、最後に“ゴザール”と締める。それら四つを並べて、「これがセガール四段活用だ」……本編での氏は、こんなことばっかり言っている。恐らく、これからの人生において必要になるだろう知識が、殆ど無い(まったくとまでは言いきれない)。大輪教授を期待していたら、つぶやきシローが出てきた感じ。……分かりにくいな。
要するに、これはみうら氏の妄想漫談なんだよね。自分が興味を持たない分野について、勝手に妄想して、講義しているわけだから。でも、決して浮き足立った内容にはなってない。これは氏が本編でも語っているけれど、自分の興味の無い分野を自分の得意分野の話にこじつけているからなんだろう。たぶん。それでもちょくちょく暴走しそうになるけど、そこはバナナマンがしっかりフォロー。とってもバランスが良い。どんなにオカシイ発言が飛び出しても、それをしっかりとバナナマンがキャッチするから、変に現実離れした内容になっていない。この辺りは、いかにもテレビ的って感じだな。
それにしても、みうら氏の発想はオカシイ。笑えるという意味の“オカシイ”じゃなくて、どっかネジが緩んでいるって意味の“オカシイ”。いや、笑えるんだけどね。笑えるんだけど、笑わせようとしてるっていうより、自己満足で突き進んだ結果として笑えるって感じで。そこまで人は、自己に埋没できるのかと。我が道を突き進められるのかと。妙に感心してしまった。
それはそうとして、バナナマンと学生コントを楽しく繰り広げたり、講義中の大喜利で天然回答を連発させるなどの活躍を見せた松丸友紀(テレビ東京アナウンサー)は、なかなかなに目を見張る可愛さだった。大江・大橋に追いつけ追い越せ!(というかテレ東のアナウンサーって天然が多いイメージがあるんだけど、実際はどうなのかしらん)
・本編
DISC-1(85分)
『スティーブン・セガール概論』『清水次郎長一家概論』『AMA概論』
DISC-2(56分+特典映像20分)
『ゴムヘビ概論』『アンバ概論』 特典映像…卒業式