菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『シティボーイズの灰とダイヤモンド ~新老人の集い~』

シティボーイズの「灰とダイヤモンド」 ~新老人の集い~シティボーイズの「灰とダイヤモンド」 ~新老人の集い~
(2008/09/17)
シティボーイズ大竹まこと

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 シティボーイズを観る。シティボーイズのコントを観るんじゃなくて、シティボーイズを観る。何も演じていない、彼らの素の姿を観る。まあ、元々シティボーイズのコントは、三人それぞれの素の顔を反映していることが多いので、それほど特別なものだという印象は受けないけれど。それでも、なんだかんだで、彼らの素の顔を映像作品として残したということは、なかなか凄いことだと言えるのではないか、と思わなくもない。

 今作は、シティボーイズの三人が事前に書いた日記を、客の前で披露するだけのライブの様子を収録している。なんとも変わったライブだ。しかし、最も変わっているのは、言うまでもなく出演メンバー自身である。特にきたろうの奇人ぶりは凄まじく、オープニングから「過去なんかどうでも良い」と言い出している。なんだ、そのライブ自体を完全否定する発言は。一方、シティボーイズの変人担当、斉木しげるも相変わらずのマイウェイぶりを発揮。日記を読むライブだと言っているにも関わらず、自分が日記を読む番になると、いきなり自分が愛する歌手について語り始め、更にスタッフを利用して音楽まで流し始める。物凄いKYっぷりである。

 そんな二人に囲まれている大竹まことは、ひたすらツッコミ役に徹していた。大竹氏もかなりの奇人なのだが、今回は奇人ぶりをそれほど発揮出来ず。やや残念。ただ、日記の記述にちょくちょく遊びの部分が見られたので、なんだかんだで満足した気もする。「肝臓が腫れているのが、指で腹を触って分かった。もちろんウソである」という文章の流れなんか、なかなか粋で良かったなあ。

 そういうコミカルなトークが多かった今作だけれど、ライブ終盤できたろう氏が語った「お笑いの芸人で年食ってるのはカッコ悪いな」という話は、なかなか興味深かった。この話のニュアンスを文章化するのは難しそうなので書かないが、年を重ねた彼らだからこそ出来る話だったと思う。最終的に、斉木氏に話をブッ潰されていたのには、やっぱり笑ってしまったけれど。

 そんなこんなで、なかなか充実した内容だった。ただ、カットしている部分があっちこっちに見られたのが、ちょっと納得できずにいる。WOWOWでの放送時はタイムスケジュール上、カットは必要不可欠だったのかもしれないけれど、DVDはもっと時間的に余裕があるんだから、もっとカットシーンを減らすことは出来たんじゃないかなあ。せめて、一時間半くらいは欲しかったなあ。うん。


・本編(約65分)

・特典映像(約5分)