菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談 <弐>』

コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談 <弐> [DVD]コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談 <弐> [DVD]
(2012/12/21)
コラアゲンはいごうまん

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日常ではなかなかお目に掛かれない人々・物事に密着取材を敢行、その体験を“ノンフィクション漫談”として笑いに昇華し続けているピン芸人コラアゲンはいごうまんによる数々のネタを収めたDVD第2弾。本編にはライブの模様を、特典映像にはネタ作りのための取材を追ったドキュメンタリーを収録。仕込みから完成に至るまでの全貌をまざまざと見せつけている。

前作では、見た目からして明らかにカタギじゃない風体の刺青師に恐る恐る取材してみたり、女王様による奴隷入試という世にも奇妙な試験に参加してみたりと、いわゆるアウトサイダーな人たちとのふれあいを中心とした話を展開していたコラアゲン。そんな前作に比べると、本作はちょっとポップに偏ってしまった感がある。……数百人の受刑者を相手に笑いを取ろうと苦心した刑務所慰問ライブでの話をポップといえるのかどうかは分からないが、少なくとも前作で感じたヒリヒリとした緊張感を覚えるようなことはなかった……が、そこで繰り広げられている話は相変わらず面白い。決して上手とはいえない喋りを“実体験”だからこその説得力でカバー、ぐいぐいと客を引きこんでいく様は、もはや名人芸の領域といっても過言ではないだろう。

そのネタの中でも印象に残っているのは、ワハハ本舗の社長・喰始の指令によってインドに2ヶ月間ほど滞在していた時の話。ガンジス河の流れる町・バラナシに滞在していたコラアゲンは、ある日、毎日の様に通っていたタバコ屋のご主人から日本語を教えてくれないかと頼まれる。特にやることもなく日々を過ごしていたコラアゲンは、これもネタになるかもしれないと依頼を快く引き受ける。そのうち、タバコ屋を手伝うようになっていき、二人の関係はちょっとずつ深まっていく。

そんな時に、コラアゲンの父親が亡くなったという報せが入る。母親に「なんであんたインドにおるん? 京都帰ってきてぇな……」といわれ、コラアゲンは苦悩する。喰始に連絡をすると、「ダメだ!」「あなたも売れてないとはいえ、芸人なんです! 芸人なら、何を犠牲にしても、まずは仕事を取りなさい!」などの厳しい言葉をぶつけられる。そのあんまりな対応に、コラアゲンは思わずタバコ屋のご主人に愚痴をこぼすのだが……。芸人という異形の職業に就いた男がインドという悠久の国で得た教え。その瞬間、タバコ屋のご主人は、コラアゲンにとってのインドの父となったのである。

ただ、個人的に一番好きな話は実はインドでのエピソードではなくて、オープニングで披露されたショートネタの一つ『個性的なホームレス』だったりする。岡山に住んでいるというそのホームレス、自分の荷物からなにから服の中に詰め込んでいるので、身体が異常にぷっくらと膨らんでいる。その服の色が黒であることから、人は彼のことを「爆弾さん」と呼んでいるという……面白過ぎるだろ、この人。インドから岡山まで、世界をまたにかけてネタを探し続けるコラアゲンはいごうまん。その行動範囲に限界は無い!


■本編(139分)

「開演」「厳選ショートネタ・自薦ベスト3」「優勝」「予告編」「インド」「刑務所」「閉演」

■特典映像(約48分)

「脳性マヒブラザーズに会いに行ってきました」「全国穴掘り大会」「鹿せんべい飛ばし大会」「本人による前説」「アンコール」