全ては『○ -maru-』に収まる
KENTARO KOBAYASHI LIVE『POTSUNEN』& KENTARO KOBAYASHI LIVE POTSUNEN 2006『○ ~maru~』 [DVD]
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2007/01/17
- メディア: DVD
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- 第一演目『丸タングラムの壁』
『Potsunen』の最後を飾った作品『タングラムの壁』と同様、背景に磁石でくっついているものをパズル的に組み替えて、コントにした作品。前回は四角でしたが、今回は公演のタイトルにもなっている、丸。丸を様々な形に分解して、ショートコントとして繋げていく。公演の最初ということもあってか、やや軽めの内容。ただ、前回よりも客ウケの良さそうな『○ -maru-』の全体的な内容を表しているようにも思えなくもない。
- 第二演目『footsteps』
何も無い舞台。喋らない小林。流される効果音に合わせたマイムを披露していく。笑いが殆ど見当たらない、パフォーマンス的要素の強い演目。中盤の、やたらと足音の響く部屋が印象的。
- 第三演目『ガジェットショー』
ガジェット(ちょっとした小道具)を使ったコント。『アナグラムの穴』の様に、小林の手元をモニターで大きく映し出して見せる演目。『アナグラム…』よりもバラエティ性に富んでいる一方、ナンセンス度は低い。子供と一緒に見たら楽しそうだが、大人一人でも十二分に楽しい。
- 第四演目『ヤギさん郵便』
小林は半分白で半分黒の服を着込み、横を向いて落語をする。内容は、田舎が嫌だと都会へ飛び出した白ヤギと、そんな白ヤギを慕うも田舎に残った黒ヤギの手紙でのやり取りの様子を描いている。笑いを重視した数少ない演目。『ATOM』の『新噺』を思い出した。落語を良い感じにパロディしたコントだったように思う。
- 第五演目『Paddle』
巨大なモニターに映し出された映像と、小林の動きが合致するマイム劇。『handmine』を全身でやっているようなものだと思っていただければ。内容は非常にナンセンスだが、全体にまとまりがあるのが良い。『ガジェットショー』同様、面白いというよりは楽しいという印象が強い。
- 第六演目『アナグラムの穴』
前回のそれと同様。ここではイラストと台詞を用いる。
- 第七演目『丸の人』
丸いものを描くということにこだわり続ける画家が、雪だるまを描こうと思い、ひたすら雪を待ち続ける……という一人コント。かなり幻想的な要素の強い内容で、絵本になってもきっと違和感は無いと思う。このコントが泣けるっていう感想を書いている人が多いみたいだけど、僕はむしろ「綺麗だなー」という感想が浮かんだ。泣けるというか、綺麗なコントだった。色々な意味で。
- 総評
前回の『Potsunen』よりも、明らかに進化している内容が良い。ただ、そのために全体の濃度が下がっている気がする。きっと、こっちの公演のほうが好きだという人のほうが多いのではないかと思うが、僕としては『Potsunen』のほうが好きだった。どうもこっちは、客に寄りすぎている気がするのだ。だから、自分勝手にやっていた印象のある『Potsunen』のほうが好きだ。……だからといって、『○ -maru-』がダメというわけではない。こういう進化を否定するということは、ない。こういう進化だって、決して間違いではないのだ。